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2001年夏、外務省の機密費流用やハイヤー代水増し請求が大きく報道され、逮捕者まで出したころ、著者は機動隊の旅費支給に関して不正が存在するとして会計検査院に審査要求し、記者会見した。この告発に至った経緯と、裏金作りの実態が、警察署の会計責任者として実際に操作にかかわった立場で詳細に語られる。
国費会計システムが開発され、国から一括して受け取っていた各機動隊員への旅費の支払いが、隊員個人の口座に直接振り込まれるようになると判明したとき、警視庁は大慌てで「特殊プロジェクトチーム」を発足させた。旅費が突然個人口座に振り込まれるようになったら、「今までの分はどうした?」と隊員たちが気づくだろう。「今までの分は裏金に消えたと気づかれること無く、旅費を配分する方策を考える」。これが特殊プロジェクトチームの任務だったというのだから、驚きだ。
捜査費流用のつじつま合わせはさらにみみっちく巧妙だ。かき集められる白紙の領収書、電話帳から抜き書きされる架空の住所氏名、数百本も保管されているという印鑑。まるでドラマでも見ているような気分になるのは、監査員との事前打ち合わせの場面である。監査員は帳簿を仔細に見て日付や金額の矛盾を指摘し、領収書の作り直しを命ずる。帳簿が本番の監査検査では完璧なものとして通るようにとの配慮からだ。問答のシミュレーションまで監査員がしてくれるのだ。
警視庁の裏金作りは、誰かの指示で行われているとも言いきれない。そして多くの職員が絡み、機械的に継続されてきた。義憤を感じながらも著者は、告発の矛先をどこに持っていったらいいのか、考え込むという。この告発に至るまで、さまざまな葛藤があっただろうことは、想像に難くない。(篠田なぎさ)
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