ポップ・アーティストのミュージック・ビデオが、控えめに見ても音楽自体と同じぐらいに重要(音楽自体より重要とは言わないまでも)になってから20年以上が経過した。ユーリズミックスが80年代に制作していた一連のビデオがどんなに革新的で興味深いものだったか、今となってはなかなか実感できない。しかし、この21曲入りのアンソロジーを見れば事態は変わる。1982年の「Love Is a Stranger」から1989年の「Angel」まで、ユーリズミックスことアニー・レノックス&デイヴ・スチュワートは、さまざまなプロデューサーやディレクター(スチュワート自身が担当する場合もあった)と手を組み、驚くほど数多くのクリップを生み出し続けた。それらの映像は、第1に不可解さ、第2にもったいぶったアート志向、第3にユーモアの欠如した冷たさ(つまらなさとは言わないまでも)を特徴とするが、とんでもなく多彩なアイデアとテクニックに支えられ、少なくとも挑発的でしたたかな作品に仕上がっている。 同じ言葉がレノックスにも当てはまる。彼女は単なるソウルフルでなまめかしいボーカリストではなく、カメレオンのようなビジュアル変化でファンを魅惑する。何十もの顔を持つ彼女は、赤毛の両性具有者からマリリン・モンロー的な艶女へ、そして内気そうな主婦からレザーに身を包んだ女王様へと、どんどん姿を変えていく(レノックスとスチュワートの2人は、「The King & Queen of America」だけを見ても1人15役、あるいはそれ以上をこなしている)。彼女は、少なくとも周囲の目を釘づけにしそうな魅力を感じさせる。また、「Sweet Dreams」、「Here Comes the Rain」、「Sisters Are Doin' It for Themselves」(アレサ・フランクリンとの共演)、「Who's That Girl?」、「Missionary Man」、「Miracle of Love」、「Would I Lie to You?」などなど、本作には傑出した楽曲・演奏が多いが、レノックスのビジュアルがそれらを損ねていないのはさすがだ。初期のレコーディングにおけるシンセ・ポップ・スタイルは少々時代を感じさせるが、このビデオ集はまったく色あせていない。つまるところ、この『Eurythmics: Greatest Hits』は、実に楽しめる1枚なのだ。(Sam Graham, Amazon.com)
Product Description
Studio: Bmg Special Products Release Date: 10/17/2000 Run time: 95 minutes